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2020年10月 1年生 職業を考える(10/15)
自分を深める学習では、2学期には職業というものについて考えます。
これは1年生も2年生も同じです。
「職業とはどのようなものなのか」ということを考えることが
なぜ、自分を深める学習なのでしょう?
「自分」というものを考えるということは
「自分」のことだけを考えるということではありません。
というか、考えるほどに自分のことだけではなくなります。
嫌でも「自分」以外のことを考えざるを得なくなります。
そもそも、「自分」という言葉自体
世の中に自分しかいなければ、他に何も存在しなければ必要ないのです。
ほとんどの人は、人生の大半を何かしらの職業に就いて過ごすことになると思います。
その中で、自分がいる意味が感じられなくてもお金が手に入ればいいのだろうか。
自分がいる意味が感じられるようにするにはどうすればいいのだろうか。
「助かるよ」「よくやったね」などの言葉は確かに嬉しいしやる気も出る。
そういう言葉をかけてもらえるような「自分」はどんな「自分」だろうか。
高校生は、自分が仕事に就くのはまだまだずっと先のことだと漠然と思っています。
試しに「君たちが仕事に就くのって、あと何年後っていうイメージ?」と聞いてみると
「10年くらい」等という答えも返ってきます。
でも、高校1年生ならばストレートで大学を卒業するとすれば
6年後には大学4年生です。
高校2年生ならば5年後です。
そう考えると、まだまだ先のこととのんびり構えてもいられない気がしてきます。
2学期に入ってから1年生は3本の映像を視聴しました。
「テレビ東京系列 ルビコンの決断 あなたはなぜ働くのですか~日本一優しい会社が問い続けた50年間~」2009年10月15日放送
「NHKスペシャル フリーター漂流~モノづくりの現場で~」2005年2月5日放送
「NHK プロフェッショナル 仕事の流儀 サッカー教師」2006年6月1日放送
すでにご存じの諸兄も多いでしょうから内容は割愛しますが
どれも働く意味について考えさせられる映像です。
その後、「職業とはどのようなものだと思うのか」書いてもらいました。
1年生の諸君が書いた内容の一部をご紹介します。
・私はこの映像を見る前から看護師になりたいと思っていました。職場体験で仕事をやらせてもらった時、だれかの役に立てることはとても嬉しいことだなと思ました。もっと人の役に立ちたいと思い、看護師になりたいと思いました。今まで人の役に立つこと以外に仕事をする意味を考えると、お金を稼ぐことくらいしか出てきませんでした。ですが、3つの映像を通してお金を稼ぐこと以外に、動画で言っていた通り、人からほめられることや人から必要とされることは、働くからこそ得られることなんだなと思いました。部活などで人からほめられることは時々ありますが、本当に人から必要とされているのか、感じることができるのは仕事をするからこそだと思います。改めて仕事に就くことの大切さを学ぶことができました。
・元々自分は職業はただただ給料をもらうために行き、めんどくさくても大変でも、生活するためにお金を稼ぎに行くものだと思っていました。でも職業に就くということでたくさんのことが学べる。人が生きていくためのささいな幸せが職業というものにあるんだなと思いました。自分が必要としていても相手にとって必要となっていないかもしれない。その場合、仕事上ではデメリットでしかないと思う。だから、相手のために、相手の立場になって役に立つこと、必要とされることを探し、努力したものがその分の幸せが来るのではないかと考えました。生きていく中では、自分に得る幸せが必要なのかなと思う。その幸せを相手にもあげなくてはいけないのでは、と思いました。
・私は大学を卒業したらやりたい職業は決まっていたが、2学期になって自分深めの授業で「職業」についての映像を見てから、自分はなぜその仕事をしたいのか、ということについて考えるようになった。今まではただ単にあこがれていた。小学校1年生からの夢を変えようと思わなかったというのも少しあったのかもしれない。でも今は自信を少しだけど持ってその仕事をしたいと思えるようになった。住職が言っていた、仕事をしていて得られる3つの幸せを得ることもできると思う。今、自分が職業を選ぶ際の条件を挙げるとしたら、住職が言っていたことを得ることができるというのも大事だが、自分が続けることができる職業ということも大事だと思う。自分深めの授業を受けて、働くことについて新たな視点から考え、より自分の夢をかなえたいと思えた。
・将来やってみたいと思う職業があったけれど、自分に向きているかどうかや、給料が割に合うものかどうかを考えると、やっぱり考え直した方がいいと毎回思っていた。本格的に考えなければいけない時期も遠くないから、別に好きじゃない仕事でもお金のために就くんだろうなと想像してた。けれど、そのやりたいと思っていた職業について何回も調べていたことが、今考えるとお坊さんが言っていたような気持ちがあったからなんだろうなと思った。今まで働く→お金だったけど、それ以前に人としてのお坊さんが言っていたような気持ちを忘れないでいたいと思った。
・私はこの映像を見るまで、職業に就いて働くということは、生活をするために必要なお金を稼ぐことだと思っていました。けれど、人はお金を稼ぐのはもちろんのこと、お金では買えない、人として大切な心の中の部分が関係していると分かりました。自分が働くことで地球のどこかの誰かが幸せになっているかもしれない。自分がやった仕事にどこかの誰かがほめてくれて、逆に自分が幸せになるかもしれない。働くことでしか感じられない幸せを感じられるのだと思えば、お金では買えないもっと大切な何かに気付くことが出来れば、職業に就くことはとても大切で大きなことだと思いました。自分が職業に就くのは5~6年後の近い未来かもしれない。自分がつきたい職業、やりたいことは決まっていませんが、条件をあげるのならこれというものがあります。お金を稼ぐのはもちろんのことですが、それ以前に「人を幸せにする」ということが1番だと思いました。私は昔、絵本作家になりたいと思っていました。イラストを描くことが好きだし、本を読むことも好きだったからです。自分が作った絵本で小さい子供を幸せにできたらとも思ってました。けれどその夢は自分が成長していくたびに消えていきました。でも今考えたら、その夢は人を幸せにするのにぴったりの夢だと思います。諦めないで少し頑張ってみようと思いました。
・働くことは自分が生きるために必要なことであるけれど、ただお金を稼ぐためだけに働くことはできないと思います。ビデオで出てきた人のように、まじめな人でもただ部品をつなげるだけの工場の仕事にいやけがさしてしまうこともあるのだなと思いました。なので私は「人に必要とされること」「人の役に立つこと」「自分がしていて楽しいこと」を条件に選びたいです。「やりがいのある仕事」という言葉をよく聞きますが、「やりがいがある」とはどのようなものか、今はまだよくわかりません。なのでこれから夢を見つける過程で自分のしたいことを考えていくのだと思います。でもあと5年しかないのに自分の仕事を見つけられるのだろうか、自分は大人になれるのだろうかと少し不安になりました。ビデオに出ていた人たちのような大人でも、自分たちの仕事について悩んでいるのに、私があと数年で決められるのか信じられません。人から必要とされて自分のしたいことを思う存分出来たら、働くことに価値を見出せると思いました。
やはり感じるものはあるようです。
お金のために仕事をするという考えを持ってはいけないんだと、誤解をしては困りますが
働く意味というものについて考えるということ自体は、仕事に就く前だけでなく
むしろ仕事に就いてからも折に触れて考えていくべきことなのでしょう。
私たち大人も日々の忙しさに追われ
気付くと、目の前の仕事を片付けるのが仕事になっていることがあります。
「生活するのに必要な事」の方が「人生を進むためにするべきこと」よりも優先される
ということばかりの毎日です。
私たちの仕事こそ、そうならないように
そうなったときも、常にそれを意識していられるようでありたいと
授業をしている自分の方が思い出させられた思いがしました。
自分を深める学習 1年E組、2年F組担当:神田上巳