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2020年3月 自分って何? ~東京成徳の君たちへ~ (3/16)
日本政府は新型コロナウィルス感染症の対応策として、小中高校の休校・大規模イベントの自粛を要請し、それを受けてほとんどの学校が休校、多くのイベントも中止または延期を発表しています。高校球児の夢である甲子園大会も中止となりました。他国も同様の対応策を実施しています。特に「クラスター感染」には最大の注意を払わなければなりません。目に見えない小さなウィルスが世界を震え上がらせているのです。
ところでウィルスは「生物」なのか「非生物」なのか、どちらでしょう?
ウィルスは遺伝子を持つものの細胞のような住処を持ちません。住処がなければ増殖しません。だから住処を求めて旅をするのです。いったん住処を見つければ増殖を始めます。その住処を人間に求められると今回のような恐ろしい事態が生じてしまうのです。
「生物」とは何でしょうか?
厳密にいえば遺伝子を持っていても自己増殖を自己完結出来ないのならばそれは「非生物」というのが生物学的・医学的結論のようです。しかし私のような素人(学術的なことはあまり知らない)にしてみれば、生物と非生物の境界線がとても不明瞭な気がします。
だって住処を見つければ自己増殖をするのでしょ?
だったら生物といえるのでは?
他の分野ではもっと「生物」の定義を広範囲で捉え、ウィルス的存在もまた「生物」と解釈しているところもあるようです。
世の中にはこのようにはっきりしない、境界線が不明瞭なことがたくさんあるように感じませんか?
そのはっきりしない一つに「自分」があります。一般には体内の物質的存在(身体)と「自己意識」という脳作用の「現象」を合わせて「自分」と呼んでいるようですが、体内の物質は常に高速で変化し細胞は入れ替わり、時にはウィルスも取り込んでしまい定常ではありません。精神も「喜怒哀楽」にあらわされるようにコロコロ変化していて定常とは言えません。にもかかわらず、こんな不確定なものを私たちは「自分」と呼んでいます。明確で固定的な境界線を持つ「自分」なんてあるのでしょうか?
それが無いとするなら・・・
「それじゃ自分ってなに?」
やっぱり難しい問いですね。この問いに私たち「自分を深める学習」は挑んでいるのです。
この問いの向こうには、この世界(宇宙)における「自分の在り方」が見え隠れしています。そして「自分とは何でどこへ向かうべきか?」という、アンジェラ・アキの「手紙~拝啓十五の君へ~」の歌詞が思い浮かんできます。
♪自分とは何で どこへ向かうべきか 問い続ければ見えてくる
荒れた青春の海は厳しいけれど 明日の岸辺へと 夢の船よ進め♪
この「自分とは何か」という原点を見据えることで、自分の在り方から生き方へと思考・感情が動いていきます。それは口先ばかりのお題目としての生き方ではなく、大いなる気づきに支えられた生き方となるのではないでしょうか。
誰のためにマスク、手洗いなどの予防をするのか?
自分のため?
高齢者を中心とした他者のため?
なぜ、日本で起きているマスクの奪い合い、電車での咳とマスクに起因する乗客同士の喧嘩、「うつしてやる!」という敵意が生じるのか。
それは幸せなのか不幸なのか?
私たちは「自分って何? 他者って何?」の問いを通してこの問題を見つめ解決していかなければなりません。なぜならば、これからの自分の「生き方」に繋がるからです。
世界の未来はあなたたち若者にかかっていますよ!
自分を深める学習:野中修也