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2018年度 「自分を深める学習」の総括(3/15)
今年度の「自分を深める学習」は、10人の担当者で授業を行いました。
生徒たちは「自分を深める学習」の授業に対してどのように感じてくれたのか?が気になるところですが、最終授業で授業担当者がアンケートをとり、それを集計したところ、次のようなことがわかりました。
質問 | 1年 | 2年 | |
A | 「自分を深める学習」に対し、以前から興味・関心を持っていましたか? 《 1.そう思う 2.どちらかと言えばそう思う 3.どちらかと言えばそう思わない 4.そう思わない 》 |
2.5 | 2.3 |
B | 授業担当者の授業に対する熱意・意欲を感じましたか? 《 1.そう思う 2.どちらかと言えばそう思う 3.どちらかと言えばそう思わない 4.そう思わない 》 |
1.3 | 1.2 |
C | 授業内容で「はっ!」と気づかされることがありますか? 《 1.よくある 2たまにある 3あまりない 4ない 》 |
2.1 | 2.0 |
D | 授業内容を授業以外の場面でふと思い出すことがありますか? 《 1よくある 2たまにある 3.あまりない 4.ない 》 |
2.5 | 2.2 |
E | 授業で扱ったテーマを、家族や友達の間で話題にしたことはありますか? 《 1.よくある 2.たまにある 3.あまりない 4.ない 》 |
2.8 | 2.6 |
F | 他の生徒の意見に共感をおぼえることがありますか? 《 1.よくある 2.たまにある 3.あまりない 4.ない 》 |
1.7 | 1.7 |
G | この授業を全体として評価するとすれば、次のどれですか? 《 1.非常に良かった 2.やや良かった 3.やや悪かった 4.非常に悪かった 》 |
1.6 | 1.3 |
(1年、2年の欄の数値は評価の平均です)
総じて、生徒の本科に対する評価は大変高いものであったと思います。特に「授業者の熱意・意欲」の項目と、「全体的評価」においては大変高い評価をいただきました。(教科責任者の野中は一番悪い成績でした・・・反省。)
やや問題なのは、「授業内容を家族や友達とシェアすることができたか」「授業の中身をふと他の場面で思い出すことがあったか」の評価数値が低かったことです。この2項目は大変難しいことで、短期間にできるものではないようです・・・。
この2項目は生涯を通じて、今後の生活の中でふと思い出し、話し合ってもらえたらなと願います。
さて、原点に戻り、私たちはこの授業を通して生徒に何を求めたいのか?を振り返ってみたいと思います。
本科の授業担当で3学年に所属している先生が、卒業してゆく生徒たちへ送るメッセージとして次のような言葉を残しています。
「自分探しの旅には出るな!まずは目の前のことを・・・」
このメッセージには、「自分とは、もともと『固定された生来・本来の自分』などというものではなく、むしろ今の現実と向き合いながら『他者とともに作り上げる』ものが自分なのではないのか?」という思いが込められています。自分は流動的であるからこそ、実体的ではなく現象的であり、どのようにも「自由に自分を変える」ことができるという「自己観」であり、それは「繋がり」無しにはありえないというメッセージです。
このメッセージは、他の授業担当者も、「本科の授業全体」を通して通奏低音のように響かせている、授業の核ともなるもののひとつであり、「自分とは何か?」という問いに対する本科の核心的メッセージなのです。
さて、このメッセージを「鵜呑み」にすることを生徒に求めているわけではありません。
生徒に求めることは授業題材に対して「哲学すること」です。
それは『提示された人生の大問題への授業メッセージを個々人がどう感じ、どう解釈し、どう自己の中に組み立て、どう自己へと落とし込んでいくのか』という課題であり、「哲学する」ということなのです。生徒たちがこの哲学的一歩を踏み出せたとき、本科はその存在意味を成します。そこを私たち授業担当者は見極める必要があります。
これからも私たち授業者は、生徒の高評価に甘えることなく、本科の本質を見失うことなく、「広がりを持った味のある『自分を深める学習』」になるよう、精進していきたいと思います。
自分を深める学習責任者 野中修也