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2019年12月 2年生 職業の意味 (12/17)

投稿日2019/12/17

2学期のテーマは「働く」ことについてです。働くとはどういうことか、何を優先して働きたいのか、自分が就きたい仕事はあるのか。社会を生きていく上で、いずれ生徒たちが直面するであろう「働く」という事象について、幾つかの問いからみんなで考えました。

 

まずは、「働く」とはどのような状態を指すのか。漢字を分解すると、「人が動く」ことを指すことを生徒が指摘してくれました。この意味は簡単に分かりますが、問題は、「人」が、どのような目的で、どのように「動く」のか、ということです。

少し質問を変えて、将来の夢を生徒たちに聞いてみました。明確な職業を答えられる生徒は2~3割と言ったところです。私自身についても生徒から質問を受けました。

 

「いつから先生になりたいと思っていたんですか。」

「なぜ、先生になりたいと思ったんですか。」

 

私自身を振り返ってみると、教師をしている親戚や父の影響で幼い頃から教師になりたいと考えていました。現在はその夢を叶えており、毎日やりがいを感じ、生徒たちと楽しい日々を送っています。しかし、「なぜ」という問いに関しては、説明がなかなか難しいもので、明確な言葉にすることが出来ませんでした。

 

そのようなやり取りの後、「ルビコンの決断 あなたはなぜ働くのですか? ~日本一優しい会社が問い続けた50年~」を視聴しました。この映像では、チョーク工場で働く人々に焦点を当てて、「働く」ことの意味を問うています。なぜ働くのか、という問いには様々な答えが存在します。生活のため?お金を稼ぐため?それとも、やりがいのため?従業員、経営者の方々の言葉から、「働く」ことの意味について一人ひとりが思いを巡らせます。

 

次の時間には、「フリーター漂流」を視聴し、日本の製造現場における労働者の過酷な現状を知りました。前回とは違い、厳しい環境で働くことを強いられる人々を見て、生徒たちは何を感じたのでしょうか。

 

以下、生徒たちの感想を抜粋します。

 

・仕事の中には、自分にしかできないような個性を求められるものもあれば、機械的作業を続けることを求められるものもあるのだと思いました。私は働くなら自分としての個性を活かせるような仕事をしたいです。私には将来の夢があります。自分のやりたい仕事に就けるように、今は目の前にある課題に全力で取り組んでいきます!

 

・「働く」こととは他のもののために動くことだと思います。私は働くうえで生活を重視したいと思います。その理由は生活を守りたいからこそ働くものだと考えているからです。チョーク工場の話では働くことの意味と向き合う人たちに心を動かされました。フリーターの人達の話では非正規雇用の現状を知ることができました。働く場所を得ることは決して簡単ではないのだと分かりました。「働く」ことについて改めて考えることが出来たのでこの考えたことを将来のビジョンに取り入れていきたいと思います。

 

・私は、今までの授業を通して、働く人々たちの現実にとても驚きました。自分が就職して給料を貰えることは、大人になったら当たり前のように出来ると思っていたので、知的障害で仕事が覚えられずにいる人、フリーターで思うような働き方が出来ない人などは、とても可哀想だったし、自分はこうなりたくないと思いました。中学の頃、公民の授業で現代の若者は、ハッキリやりたいことが決まってなく、まずはフリーターからやるというケースが多いと聞いたことがあります。そのやり方だと最終的に後悔してしまうのではないかと思いました。私は、自分の就職先や進路を決める時には、自分が本当にしたいこと、学びたいことを考えて、そしてそれが自分に向いているか、ずっと続けていけるものなのかをしっかりと見極めて、なんとなくや曖昧な選択をしないようにしたいです。また、今からでも将来働くようになる時のためにできること、学ぶこと、経験すべきことがあると思うので、自分の将来が有意義になるように積極的な行動をとっていきたいです。働くということについてまだ真剣に考えたことがあまりなかったので、今回自分が思ったことをもとに、まだ先のことと思わず考えていきたいです。

 

・今回のテーマである「働く」ということは私達高校生にとって大切なテーマであると思う。自分達の知識の中にある社会と実際に出ていく社会とは異なる事が多くあり、その様な社会で生きて行くためには仕事が不可欠である。自分は働くときの優先順位として生活を一番にしたが、それだけでなくお金や楽、やりたいことも重要でありこれからの仕事選びに必要な条件であると思う。「ルビコンの決断 チョーク工場」「フリーター漂流」では今の日本の働く現状とその中で障害のある人々がどのようにして働いているのか、ということを知れた。働くことの意味や、その過酷さを目の当たりにして驚きも多かったが、それ以上に学べたことが多かった気がする。これから仕事について知っていく上で重要な映像だった。今の日本は一見すると発展し、豊かなように見えるが映像にもあったように、日雇い労働者や非正社員などの仕事に関する問題に苦しんだり、自分の望む仕事に付けなかったりする人が多くいる。その中で自分の思い描いた未来が実現するように自分の「仕事」や「働く」ということに対する考えを改めていきたいと思った。

 

・チョーク工場の映像で、「人間の究極の幸せのうち、少なくとも三つは働くことで得ることができる。」と言っていました。その言葉通り、チョーク工場で働いている全員が自分の仕事にやりがいを感じながら楽しそうに働いていました。きっと、一人ひとりの個性を大切にし、仕事に対してやる気が出るような良い環境なのだと思いました。しかし、フリーター漂流の映像では、生活費を得るためしょうがなく働く人が多くいました。確かに、毎日出勤するのはとても疲れるし、自分の希望通りの職場で働けない人の方が多いと思います。働く時間は、人生のうちの数十年という長い時間です。生活のためにただ働くだけでなく、小さな楽しみや、やりがいを感じられるように努めることで良い時間を過ごせると思います。私は、人から必要とされることにやりがいを感じるので、それを叶えられるような職業に就きたいと思っています。

 

・やりたいことをやって生きたいけれど、生活はともかく、ずっと売れないまま終わる可能性があるくらいならば、別のやりたいことをやって生きていきたいと思いました。「フリーター漂流」や先生のバイトの話で、機械作業を長時間やるのはとてもつらそうだけど、時給が高いので、覚えることが多い仕事よりはましだと思う人もいるのではないかと思いました。働くことの幸せは「ルビコンの決断 チョーク工場」で言っていたけれど、それは日雇いの仕事や機械作業では、あまり感じないように思え、働くなら信用の出来る仲間が出来る仕事であることが必要だと思いました。友達は「人の役に立つ」ということが「働いている」と言っていて、他の友達も同じような意見でした。そのように思えるかは自分次第だけれど、機械作業をずっとやっていると、自分がよく分からなくなるようになることも多いので、閉鎖的な仕事はやはり、自分が行う上では良くないのかと思いました。でも、働く人を雇う立場であったら、機械作業的な業務も出てき、人間的にどうなのかなどといった感情だけでは出来ないのが「働くこと」は難しいと感じさせました。

 

私が今回の授業で「働く」ことについて意識したのは、「働く」ことで人と人が繋がるということです。以前、同じ教材を用いた際に気付いたのですが、普段私が何気なく授業で使っているチョークは、実は「ルビコンの決断」で取り上げられているチョーク工場、日本理化学工業で作られたものだったのです。今回の授業を終え、そのチョークを自分が使っていることに、何かの「縁」を感じました。彼らが思いを込めて作ったものを私が使い、生徒に教えている。この事実から、「働く」ことによって、人と人の関わりが生まれ、さらにその繋がりが拡がっていくことに気が付きました。

 

「働く」ことによって、生まれる繋がり。

自分とは他者との関わりの中で見出されていくものです。

職業にはそのような意味もあるのではないでしょうか。

 

1年S組担当:橋本雄志