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2018年5月 「自分を深める学習」 を実践していくにあたって(5/1)

投稿日2018/05/01

2018年「自分を深める学習」の実践にあたって

 

2003年に暗中模索しながらスタートした「自分を深める学習」は今年16年目を迎えました。

昨年実施した生徒の「授業アンケート」では、おおむね授業担当者として安堵する結果が得られています。

特に、指導に当たる担当教師たちの「熱意」が生徒に高く評価されています。今後も熱意をもってこの授業を進めていきたいと思っております。

反対に、生徒が行動出来なかった、あるいは評価しなかったことは

  • 家族や友達と授業テーマの話を授業以外の場でする
  • ふと一人になった時に、授業テーマについて考えたり思い出したりする

という点でした。

この授業は、授業時間内だけでその目的を達成することができません。「自分とは何か、どこへ向かうべきか」が根底にある課題ですが、理性、知性のみで解決されるものではなく、経験を通した「感性」も必要になります。言語化してその何たるかを表現することが不可能にも近いくらい難解な課題です。また膨大な時間も必要とする課題です。

この「自己存在の本質的課題」を解決するには、多くの人々とのコミュニケーションと、一人孤独に沈思黙考する時間が必要になります。故に、上記に示した「二つの実践」を行ってほしいと願っているのです。

そのためにも私たち教師は、授業題材を精選、進化させ、生徒に強いインパクトを与えられるような授業の中身にしていかねばなりません。今後、教師間の連携、意見交換をより強化していきたいと思います。

先日、ある雑誌でこんな記事を見つけました。教育関係の機関誌です。

「理学療法士として一度は就職した女性が、もっと深く学びたいと大学院に入り直し、現在は小児専門の理学療法士として活躍しています。

女性の出身高校は『自分とは何か』を常に生徒に考えさせるのが特徴です。

そしてその時の学びが、障がいのある子供たちと向き合い、対話する能力を育ててくれた!とその女性は話していました。かなり前になりますが、その出身校の校長に取材をした際、『自分の闇を語れなければ子供の心は開けない』『生徒たちの望みや意志が、泉のように湧いてくるのを待つ学校です』と話していたのが印象的でした。

『何が近道か』『何が安全か』を先回りして教えるより、子供の中に真の望みや意志が生まれるまで『待つ』ことが、今の教育だからこそ大切なのかもしれません」

 

ともすると、目の前にある近道と安全性を求めてしまうことが、誰にでもあるように思います。そこに到達する「ナビゲーション」ばかりが気になります。高性能なナビを求め、近道、安全だけしか目に入らないかもしれません。しかし本当に大切なのは生徒の「希望・意志」でしょう。それをたくましく強くするのは「エンジン」であって決して「ナビ」ではありません。もちろん「ナビ」が必要ないわけではありません。それ以上に「エンジン」を強化することの方が大切に思えます。

では、その「エンジン」はどうすれば強化できるのか?これも先ほどの雑誌の受け売りになりますが「好きなことに夢中になった経験、精一杯打ち込めるよう応援してくれる先生や友達の存在」が必要なのでしょう。

しかし、その通りなのですが、好きなこと、夢中になるものは単に「自分探し」をしても見つからないことが多いようです。

「流動的で現象的な自分」であるからこそ、「自分作り」という自己構築プロセスを通して、知性、感性、身体を磨いていけば、自然に「本当に好きなこと、夢中になること」が目の前に現れるものだと感じます。

そしてその過程で必ず「自分」に「人生」が問いかけてきます。「自分って何?あなたの生きている意味は何?」・・・この問いに答えようとすることが「自分づくり」なのでしょうね。

さあ、この「自分を深める学習課題」に本校の生徒はどう答えていくのでしょうか?人生にとって遠回りにも思える課題ですが、この時代だからこそ大切にしたいですね。

このような生徒への想いと願いをもって、私たち教師は一年間授業を進めていきたいと思っています。皆さんどうぞよろしくお願いします。

自分を深める学習 野中修也