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2018年11月29日 伸ばすメソッド

ポイントカラー 進路指導週間(11/12~11/17) その4

「動物の遺伝形質と遺伝病」
日本獣医生命科学大学 獣医生理学研究室   片山健太郎先生

11月16日(金) この日は表題の講座を覗いてみました。
ペットとして飼われているイヌやネコにはいろいろな品種があります。
遺伝子が変異して生じる病気もありますが,品種として遺伝子の変異を利用したものがあるのです。

ポイントカラー。
シャムネコの体毛の独特な色模様。
顔面,耳,足,尾などは黒色。
胴体の毛は白っぽい。
また,冬は全身が黒っぽく見え,夏は白い部分が増えてくる。

理由はシャムネコだから。
ですませていました。

ですが,このポイントカラーは
遺伝子のちょっとした変異で説明できるのでした。
シャムネコの体毛の色の部分的変化は,体温と関係があるのだそうです。
体温が高いと白色。
体温が低いと黒色になるという。

体の色はメラニンという色素が関係しています。
この色素はチロシナーゼという酵素からつくられます。
チロシナーゼは遺伝子によりつくられます。

ところがまれに変異型の遺伝子(正常な遺伝子と比べちょっとだけ変わった遺伝子)がつくられることがあります。
この変異型の遺伝子は温度感受性のチロシナーゼをつくります。

変異型チロシナーゼは低温では正常なはたらきをしますが,高温ではうまくはたらくことができません(その差は2℃くらいとか)。
シャムネコの黒い部分は比較的低温でチロシナーゼがはたらいた(メラニン色素がつくられた)。
白い部分は高温でチロシナーゼがはたらかなかった(正常なメラニン色素ができなかった)結果だそうです。

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今回も中学生から高校生まで受講していました。
その関係で,遺伝子とそのはたらきについての説明が最初にありました。

遺伝子の変化。
それは,遺伝病を引き起こすのか。
それとも品種の特徴を引き出すのか。
講義の後半はいよいよ核心部分に触れていきます。

中学生には少し難しい内容だったかも知れません。
ですが高校2年生はちょうど生物で「バイオテクノロジー」を学習しているところ。
タイムリーな内容となりました。

また,この講座には保護者の方も聴講に来られていました。
進路指導週間の放課後の出張授業。
保護者の方も生徒と同じように参加することができます。

それにしても,
シャムネコを見たとき
足や尾が黒いのは体温が低くなっている場所だからというのは
赤外線のサーモグラフィーを見ているようで面白いですね。

木下 浩

遺伝子工学については、昨今、目覚しい進歩が見られます。
今回も、身近な分かりやすい題材で先端科学を講義されました。
参加生徒には、興味が持てる内容であったことでしょう。
講義の終了後も、個別質問する生徒がおり、長時間にわたり続きました。
高校1年生は、「遺伝」について、通常の理科探究型授業の中でも学び、
11月上旬には、「遺伝子と生き物の寿命」について大学教授による出張講義も受けており、より深まったのではないでしょうか。
今後も、進歩・応用の続く分野です。
これをきっかけに、関心を持ったことについて自らも調べてみましょう。

クミタ 理科男 (Tongari)